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写真でさらす不良主婦の日常。
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吸収力がない
記憶力がない
1回じゃ覚えない
メモってもわからない

回数を重ね
その意味と効果を理解してようやく
自分の仕事として手に入れる

大人になるとそういう記憶回路になるのだそう
一夜漬けやただ単純な暗記は苦手

そうやって一進一退しながら
1年も経つとそれなりに成長するものです





最初のSさんとの数か月は「カオス」

波にもまれ
どっちが天か地かわからず
真っ暗な深い海に沈み
溺れそうでもがき苦しんで
浮いてはまたその繰り返し

手探りでバタバタしていると
ロープが飛んできて浮上する
そこは青い空と太陽の
穏やかな海が広がっていた・・・

Uさんが来てからそんな感じ
本当オーバーじゃなくてね
やっと息ができる
時々大波が現れて
リップから叩き落されても
Uさんとつないだ手を離さない限り
2人でまた浮き上がる

そんなこんなで年も明けて
春が来て夏が来て
あっという間に1年が過ぎました

ああ20年前を思い出す
あの時はまだ若かった
右も左もわからない少女
英文タイプだけは得意です

配属される部署で紹介され
お誕生日席に座っている部長が

「どうも~です」

え、なんて言ったの?
聞きなれない名前
メガネが光ってインテリ風で
いかにも海外営業
みんなそんな人ばかりだったけど
オシャレで穏やかでかわいげのある
優しい雰囲気の上司だった

数年後アメリカに支社を作ることになり
単身で約2年間
不在中はFAXで国内取引先とのつなぎ役で

特にひいきにしていたD社の担当者から
E部長からの打診の答えをもらった時

「Eが喜びます!」

と言ったのが好印象だったと
後にその彼に口説かれ
少しお付き合いしていたこと

帰ってきた時
かわいらしい顔に似合わない
「ひげ」を生やし

「Opps !」

ちょいちょい出る英語に嫌味な連中から
アメリカかぶれしてると冷やかされ


またある日
香港から電話がかかってきて

荷物間に合わないけど!
船いつ着くの?
どうなってるの?

お昼休みにみんなが聞いている前で対応
貨物は通関に1日かかるから待ってられない
ハンドキャリー(手荷物)で今すぐ持ってこい!

同じ45㎏の荷物なら8000円
同じ重さの人間が行くと数万円ってこれいかに?!

「そりゃ人とモノが行くのとは違うでしょう^^」

12月に入ったばかり
香港に到着する飛行機の窓から
まぶしいイルミネーションが真下に見えた

1泊のとんぼ返り
翌朝ホテルの朝食で出てきた「ヨーグルト」ってのが
どんぶり1杯のビッグサイズで笑えた


またある日
海外営業の事務方が自分だけになって
気づけば月数百万の数字を作っていると
それなら小林さんを女性初の総合職にしようと
言い出したのも部長

出張に行かせよう!
僕も会ってきたから
担当者にも会ってくるといいよ
いつも英文タイプで「Dear ~」
と書いているメンバーみんなに!

シカゴの事務所に到着し部長の個室へ
香港とは違ってNativeの英語はまったくわからない!
こっちの英語も通じない!<適当だし
日本人に多い
読み書きはできても会話ができないことをわかってくれた

今アナタの会社は誰もいないわね
到着したことを報告してみたら?
紙に書いたメッセージをFAXする

「いつもアナタの会社に送ると〇★※▽◆…」
「なんて言ってるの?日本語だと思うのだけど」

よく聞いてみると女性のアナウンスで

「ただいまFAXと電話を切り替えております…」

通訳してやると

「あ~あ~あ~!」

2人して大きな身振りで納得してくれた
自分のつたない英語が通じて嬉しかった

帰って部長に報告すると大爆笑
それも笑いすぎじゃない?
そんな面白い?
ってくらいずっと笑っている

「わかった・・・すごいよそうか、通訳してやったか」

満足げにずっと笑っていた
後で思えばあれは嬉しかったんだ
幹部にも報告すると言っていた
そんなことを?
偉業だった?

それよりこんな英語も満足に話せず
ていうか値段の交渉なんてまともにできるはずもなく
ただ部長もあちらのマネージャーも
単身で日本からはるばるやってきた少女に

「10円まけてちょ?」

そんな風に言われたらああいいよと2つ返事
何を言ってもOK、ノープロブレム!
翌日も観光アテンドしてくれて
こんな役立たずで逆に申し訳ないのに

FAXのアナウンスを翻訳してやっただけ
ただ実績を作りたかったのかもしれない

その後いろんな部署替えがあったが
部長とは常にセット
事務方が自分しかいなかった
後輩も育たない
取引先も小林さんになついてしまい
よくある「この人しかわからない仕事」になって
それじゃ困りますと後輩を入れることになり

いろいろあって7年半
社長の逆鱗に触れて
見せしめとして辞めざるを得なくなった時
部長の苦しそうな様子が痛々しく

小林じゃなかったらオマエが辞めろ
くらい言われたんだろう
苦渋の決断だったに違いない
恨まれても仕方ないと思っていたみたいだけど
そういう気はしなかった
部長には守るものがあるからね
自分は1人でも生きていけます

恋愛感情?
タバコも酒も好きな部長と
何度か2人で飲んで帰ったこともあった
それでも駅で別れてまた明日

「女性ってさ」
「なんでナスを焼くの?」

なんでってナスって焼いただけでおいしいでしょう

「なんでナスを焼くのかな~」

しばらくずっと言っていた
奥さんが焼いたナスをよく出すんですね
もっとうまい食い方があるだろうと言いたかったのか
そんな質問が可笑しくて微笑ましくて可愛らしくて

仕事の他にそんな家庭のこと会社のこと
後で思えば男女の関係にもなれたのに
なぜかそういえば
もう戦友のような絆で
お互いの結婚相手を知っているせいもあるが

*******20年後********

今おかげ様でこうしてお仕事にありついています
そんな部長のことを思い出さずにいられません
20年前と同じ
あの頃はこんなアホじゃなかったと思うけど
部長とTさんがかぶります
同じように優しくて穏やかな人でした

お見舞いの話が何度も流れて

「私休みですがMちゃん都合が悪いって」
「一人で行ってもいいですか?」

急ぐことないよ
2人都合のいい日に来てください
小林さん一人じゃ旦那さんの手前
僕も心苦しいですから

なんて未だにそんなこと言ってる
まだ生きてますからって

行っとけばよかった
1回でも何回でも1人でも2人でも

時間がないような気がしていた
早く行かないと…なんだかずっと気になっていて
余命3か月だなんて
そんな深刻だったなんて

部長が辞める日にMちゃんが知らせてくれて
会いに行きましたね
10年は前でしょうか
またゆっくりお話しましょうと別れたのが最後

部長は遠慮していたみたいだけど
優しさと頼もしさと可愛らしさと
そんな人に育ててもらって
本当はずっと好きだった
Tさんと似ている
自分にとって着いていきたい
お役に立ちたいと思える
理想の上司像なんだと思う

5日前のメッセージが最後でした
待っててくれなかった
遅くなって本当にごめんなさい
お着物着て行って驚かそうと思っていた
元気づけようと思っていた
たらればが繰り返す

こんな形で遅すぎるけど
Mちゃんと会いに行ってきます
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ご冥福をお祈り申し上げます
こうめい 2017/07/28 07:40 編集
連絡をしてくれる人がおられるのですねえ
よく未だに繋がっていますねえ びっくりです。

覚え方 歳をとると理論で理解しようとしますね
おっしゃるとおりです。

仕事を覚えるときも同じだと思っていますよ

単に覚えることが苦手で 部下によく言われます。
えええ! 覚えていないのですか?
そういう会話を最近しましたよ
と言われ ????? ということがあり
健忘症です と言って逃げますがねえ
 
  
こうめいさんへ
さとぽん 2017/07/28 22:39 編集
我々同期は仲が良かったのですよ
会社の上司たちもみんないい人面白い人ばかりでした

加えて私が会社都合で退職したので
みんな同情してくれるんでしょうね
お店に来てくれたこともありました

辞めてからもMちゃんとランチの迎えに行ったり
部長が退職する日に会いに行ったり
何よりMちゃんがこんなに長く勤めてくれるとは思わず

細く長くお付き合いいただいております

簡単なことに限って覚えられないですね
なので自分流に理由をつけてこじつけて覚えるようにします
  
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